無料でキャラクター作成 桜の花びらと梅の花びら 終話

文・コールマン 絵・うめしげ(アバター衣装はBOOTHを利用しています)

9.最終回

あれから高校を卒業し、純也は医療系大学に、粋也は自由人、茜は大学で音楽教師学科に進学した。

各々、別々の道に。純也と茜は付き合い始めて、大学から一緒に暮らすことになった。実家と大学からはそんな遠くはない。

茜は大学のテラスで友達と話しながら、昼ご飯を食べる。

唯月:でもまさか、あの子と付き合うとはねー やるわね。

実桜:そうね! 私もあんなキャラクターの彼氏ほしい! いいなー 羨ましい!

茜:ちょっと! 恥ずかしいから! でも彼は凄く優しい、あまり口数は少ないけど時には男らしくて、どこか絆というか心というか、常に繋がってる気がするの。

と、詩人のような事を言う茜。それに対して友達は笑いながら羨ましがる。

この友達は高校からの友達で、大学も一緒だ。

2人は茜の信用できる友達だ。純也の事も2人にすぐに報告するほど、仲がいい。茜は凄く幸せそうだ。

─────── 7年後。

あの夏祭りから7年、純也と茜はついに結婚することを選んだ。

結婚式は地元の結婚式場にすることにした。

純也の家にて。

粋也:純也はまだ帰って来ないのかい?

茜:ええ、もう帰ってくるはずだけど。

粋也:まさか君たち2人がゴールウィンとはね。

茜:あら、あなたのおかげでもあるのよ。

粋也:僕はなにもしてないですよ。あとで純也から聞いた時は飛ぶほど驚きましたがね。

そこに純也が帰ってくる。

純也:ただいま。 あれ? 居たのか旅人。

茜:おかえりなさい!

粋也:おかえり! たしかに旅人だけど。

純也:相変わらずだな、海外はどうだった? どこだっけ?

粋也:モンゴルだよ! あのね…… !

純也:モンゴルの話ならメールと電話で何万回も聞いたからいい。

粋也:え〜! ひどい。

純也:どこが酷いんだよ、それはこっちのセリフだ。

茜:ふふふっ このやり取りも久しぶりね。

純也:そうだな、当分無かったからな。

粋也:そうだね、なんか懐かしい。

その言葉に高校の時の思い出が過ぎる。

粋也:そういえばあれはまだ持ってるかい?

純也:当たり前だ、今ではお守りだ。

と、純也は財布に付けた琴のキーホルダーを見せる。

茜:私もお守りよ。

茜はキーチェーンと一緒に付けてある三味線のキーホルダーを見せる。

粋也:いいね! 考えることは同じか、僕ももはやお守りさ。

粋也は財布につけた尺八のキーホルダーを見せた。

粋也:あの時の絆はまだ。

純也:安心しろよ、結婚してもお前は俺の親友だ。

茜:そうよ。

粋也:それを聞いて安心したよ。それじゃあ次は結婚式場で。

純也:下まで送ってやるよ。茜、ちょっとまってて。

茜:分かった! 寝る準備しとく!

粋也:じゃあ行こうか。

と、純也と粋也はマンションの下に降りた。

あまり話はしなかった。マンションのロビー抜けて、外へ出る。帰り際、純也は粋也に言う。

粋也:じゃあ、またー 。

純也:粋也!

粋也:ん?

粋也:色々とありがとう。

粋也:構いやしないさ。お幸せに。

そういうと、2人は別れた。

その1週間後、8月18日、この日2人は永遠に結ばれる。

8月18日は2人が付き合った記念日、この日に結婚したいと2人は考えた。

結婚式に来る懐かしい面々。大塚先生もいる。

もちろん茜の友達も親も来ている。

純也の祖父、光昭は新婦側に挨拶をする。

結婚式場に行く前、純也は母の神棚に「行ってきます」と一言手を合わせた。

写真は父の清光が結婚式に持ってくる。

純也と茜は結婚式場に着く。

そこに粋也と大塚先生が居た。

純也:久しぶりですね、先生。老けましたか?

大塚先生:純也! おめでとう…… て久しぶりにあって老けたか? は無いだろ? まあ老けたけどさ、あれから7年も経ってるんだぞ。老けるだろ、そりゃ。

純也:ですよね、すみません。

大塚先生:まあいい。

その場面を見て粋也は笑う。

大塚先生:粋也は笑ってんじゃねえよ。

粋也:すみません。

純也:それではまた後で。

大塚先生:ああ、立派になったな。

純也:ありがとうごさいます!

純也は話を終えると、控え室に入った。そこで心身をゆっくりしていると、あっという間にに時間だ。あの有名な聞きなれた結婚式の音が聴こえる。そして、結婚式が始まる。

純也と茜が舞台の前に出る。神父のあの有名なフレーズを言う。あっという間にだった。その後、家族や兄弟、友達が見守る中、2人は静かにキスを交わした。

ここから2人の新たな人生が始まる。

楽しいことだけではない、嫌な事もある、怒りたい時もある、悩む時もある。だけど、どんな状況でも根は同じ、絆と心が繋がっていれば2人はどんなことも乗り越えられるだろう。

そんな2人を見て、父の渉は涙をながした。

そして、その後…。

結婚して2年後、茜のお腹には新たな生命があった。

もう臨月だ。そろそろ生まれる。ところが肝心の夫である純也はこの日仕事で遅くなってしまった。今日はこんな日に限って患者が多い。残業していると、先輩技師が声を掛ける。

先輩技師:おい! まだ居たのか! いま大変な時だろ! ここは良いからさっさとカミさんのところいけ! あほ!

純也:すみません、ありがとうございます。お先に失礼します。

すでに病院にいる茜。早く帰って頑張っている茜の元へ行きたい純也は残業を終えるとタクシーにすぐさま乗る。そして、行先の病院を告げる。

純也:もうすぐ生まれる!

と、笑顔が隠しきれない。

だが、タクシーに乗り安心したのもつかの間、渋滞にハマった。

純也:え!? 渋滞!? これじゃ間に合わない!

と、焦る純也を見て運転手は察して話す。

運転手:君、これから出産だろ? 走った方が早い! 代金はいらん! いますぐに行け!

純也:あ、ありがとうございます!

と、純也はタクシーからおりると走る。

ひたすら仕事着のまま産婦人科まで走る。ここから走ると恐らく10分で着くだろう。
走ってる最中も、茜の事は心配だった。そしてなにより母子共に健康でありますように。
そう願っていた。

病院に着くと、お産は始まっている。急いで分娩室に入る。そこはまるで戦場だった。

純也:遅れてごめん!

と、純也は茜の手を握る。

すると茜少し落ち着く。純也の力なのか。

そして、ついに赤ちゃんが産まれた。元気な男の子だ。茜にも純也にも似てそうだ。すごく小さくて可愛い。

茜は疲れたのか純也の手を握ったまま眠ってしまった。そのまま病室に移動した。

病室に着くと、2人とも寝てしまう。

純也は起きると、まだ手を握ったままだった。純也は茜に「愛してる」と、寝ている妻の頬にキスをする。

すると、茜は目を覚ます。

そこに先生も来る。ちょうど赤ちゃんを見せにきた所だ。

2人はニヤニヤが止まらない。茜はその小さな手に触れる。すると、強く人差し指を握り返す。

茜:ねえ、名前どうする?

純也:男なら決まってる、直明だ。人を目でみて癒す、優しい子に育ってほしい。

茜:良い名前ね、直明。2人の子よ、いい子になるわよ。

純也:ああ、きっとな。

直明はどんな子に育つのか、2人は将来が楽しみでいまからワクワクしていた。

ここまでの道のりには色んな事があった、この病院に来る時もそうだ。仕事は残業になるし、その間妻は1人で頑張っている。タクシーに乗れたと思ったら渋滞、走ることになる。出産に間に合ってよかった、ギリギリだった。なにかといい事の裏には悪いこともある。だが、これだけは言える。「助け合いと人間」の大切さ、いい事はすればそれは返ってくる。今回のように。

純也:あかね、ありがとう。

そう、感謝を言うが、感謝はしきれない。

最後まで、お読み頂き有難うございました。

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