お袋との生活 その2

妻と一緒に、お通夜に出かけました。母親は、精神的に参っていて、行かないと言うので二人で参加しました。

早めに、着きましたので、未だ、人はまばらな様子でしたが、結構大きな会場でした。お婿さん関係の方にご挨拶を済ませて、棺を見ると、本当に生きている様で、すぐに起きだしそうな感じがしました。

時間になり、お経が読まれて、お焼香をして‥‥‥。

会場は、椅子に座れない人が出る程、沢山の人でした。全員の焼香が済んで、帰ろうとすると、お婿さんに、少し待っていて欲しいと呼び止められました。

私もこんな年齢(今年62歳)なので、葬儀(お通夜も含む)に参加した事は有りましたが済めば直ぐにお暇をしたので、読経、お焼香が済んでどのように進行するかは、理解が有りませんでした。

広い会場の隅で、妻と二人、ポツンと待っていると、係の方が、棺を会場中央に移動して、“最後にご遺体にお別れをする方はどうぞお願い致します”と促します。

それによって、棺の小窓を見ていく行列が出来ました。会場に来てくれた方々は、妹の友人知人、関係者の方々で、各方面からの連絡により、時間を割いて頂いた方々です、深くお礼申し上げます。

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只、会場内にいる数少ない血が繋がった者として、その光景は、妹の遺体が、晒し物になっているように見えて、結構しんどかったのを憶えています。

遺体は、綺麗にお化粧がされていて、お花に包まれて本当に立派な感じでした。

列席者の中には、覗き込んだ瞬間に、涙が流れて、親しい友人だったのだろうと感じるシーンも有りましたし、又、何十年も前にお会いしたご友人の方で、態々私たちの近くまで来て、お声掛け頂く事も有りました。ありがとうございます。

しかし、その行列の最初から最後までを見ていると、促されるがままに列に加わり、遺体を拝んでいく方も多かった気がしたのです。色々なご縁で、来て頂いた方々では有ると思いますが、どうぞ、ご遺体を見て下さいと言われて、順番が来て、棺中を見て、どんな気持ちなのだろうかと考えてしまいました。

私自身も、兄妹の遺体を、見てほしいとは思わなかったのです。

それは、何も出来なかった頼りない兄が、最後だけでも、妹と向き合いたかったと言う我が儘なのかもしれません。

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大方の人が、お帰りになり、お婿さんが、食事も用意して有りますので食べて言って下さいと仰って頂いたのですが、そんな場で何を話して良いかも分からず、“お袋も実家に残して少し具合も悪そうなので、今日は帰ります”と言って、帰宅しました。

まだまだ、生きたかった、生きていて欲しかった、自分も周りもそう思える今回の永眠は、十分、長生きできたよねと言って頂ける時と違い、彼女自身に、そして、係る人其々に落胆の思いが強く広がりました。

とりわけ、母親や兄妹、残された家族には、大きな心残りとなりました。

いずれは、こんな事になるのではと言う思いは有っても、薄っすらと気持ちの準備はしていても、いざ直面すると、心の整理に時間も必要に感じます。

だからこそ、その最後の式典は、近親者で厳かに行われても良いのではと感じてしまったのです。

これから、幸せになるお二人の御婚礼は、沢山の方々に祝って貰い、お本人も幸せな気持ちに包まれて、その事も人生の門出に大きく寄与する物と思うのですが‥‥‥。

そんな話を、妻としておりますと、私が喪主で有った訳では無いのだし、地域性や、其々の立場の違いも有るのだから、あまり大きな声で、言わない方が良いのでは?と意見を貰いました。

確かに、駄目ダメ兄貴の出る幕ではなさそうです。

繰り返しとはなりますが、妹の最後にあたり、色々尽くしてくれた病院関係者の方々、急な呼びかけのも関わらず駆けつけてくれた方々、式典を滞り無く進行してくれた会場スタッフの皆さん、時間を割いて式典に参加して頂いた皆様、本当にありがとうございました。

最後になりますが、これは、私の私見です。お読みになって、不快な思いをされる方がいらっしゃいましたら、頑固おやじの我が儘な一言だとご容赦下さい。

次号に続きます。

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