お袋との生活 その3。

妹が亡くなり、お袋は大分参った様子でした。勿論、妹に係る多くの人達は、皆、残念に思っていましたが、私自身は、それを身近に見る事は出来ません。

しかし、少し足の悪くなったお袋との買い物に付き合ったりすると、“何時も此処のスーパーに連れて来て貰って、この袋に買い物を入れてくれた”と言いながら、涙ぐんでいる姿を見ると、辛い気持ちになりました。

今は週に何日かの割合で、訪問する事が出来ても、妻も自身の親の介護をしている事も有り、長期間となると、中々難しい状況に有りました。

妹の葬儀の後、折にふれて、そんな話もしたのですが、“自分で出来るから”の一点張りで、何かを大きく変える事が困難な状況でした。

それでも、生活して行かなければなりません。買い物に行って、食事をして、身の回りを整えて‥‥‥。余り経験の無かった事なので、改めて、色々知る事になるのですが、日本は、本当に、老人介護は保証がしっかりしていると思います。贅沢を言わなければ、年金だけで、介護施設に入って余生を全うする方法だって有るのです。

勿論、沢山のお金が有れば、立派な施設にだって入れます。ですが、もしそうで無くとも生きていけると言うだけで安心出来ます。自分が、働けなくなって、貯えもなければどうするのか?子供たちに経済的にも負担を掛けて生きていかなければならないと思うと、憂鬱な気持ちになりますが、贅沢を、何とかなると言う現実が有れば、大変有たすかります。

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さて、先ず目先を、どういった形で進めて行ったら良いのか、どういった公的補助が受けられるのかを、市役所に電話をして相談しました。

介護する家族が、県外に住んでいても、地域包括支援センターなどが、申請をしてくれるとの事で、有難い限りです。

一旦は、地域のケアーマネージャーさんにお会いして、今後に事を話し合います。

この話し合い時間を設ける事からして、そんな物は必要無いからと、受け入れ難い感じでしたが、その方が少しでも楽なると言う説明をして、何とか実現しました。今になって思えば、どちらにしても、私の最終目的は、お袋との同居でしたので、その事に、薄っすら気が付いていて、何とか回避しようと、話し合いに応じたのかもしれません。

買い物は、御近所のスーパーに宅配をしてもらう方法も有る様でしたが、公的支援の中に、買い物やお掃除なども有るらしく、それを利用する事にしました。

併せて、介護認定を受けるには、医師の意見書が必要で、それにより介護の度合いが決まるとの事。

ですから、1回は病院の受診が必要になります。お袋の自慢が“生まれてから、大きな病気をした事が無く、病院に行った事が無い”でしたので、これも、中々大変で‥‥‥。

なだめ賺すようにして、連れて行きますと、お優しい感じの女医さんで、最初は、本人、私達夫婦、ケアーマネージャーさんの3者問診をします。

生年月日や簡単な記憶力テストなどをして、その後、本人と先生だけの時間が有りました。待合室でいる間、他にもお袋と同じ位の年齢に見えるご婦人がいて、上手にスマートフォンを使っているご様子でした。

若い頃でも、平素の生活の違いで、色々な能力に差が出ますが、年齢が進むにつれて、その差がどんどん大きくなっていく気がします。

殻に閉じこもらず、チェレンジして行く事の大事さを感じます。

さて、そんな待ち時間の間に、ケアーマネージャーさんとも、話す時間が有りました。その話の中で、訪問時に少し匂った事が有ると仰います、匂った(失禁している)勿論、お元気な方でも、失敗は有りますが、自分がそれに気づかないとなると、普通に見えても、何かが大分進行しているのかなと心配になりました。

女医先生とお袋の問診の時間が終わり、診察室に呼ばれました。

認知症などの症状とは、少し違う気がするのですが‥‥‥、と言われ、少し嬉しかった記憶が有ります。

先生が仰るには、平常圧水頭症の疑いが有るので、医大に紹介状を書きます、との事でした。調べてみると、歩行困難や失禁などの症状が有り、手術が必要と書かれていましたが、それをすれば、良くなると言う例も出ていて、色々口煩いお袋では有りましたが、進行するしかない認知症と違い、元気に買い物も出来る様になるのではと期待が膨らみました。

医大の予約を取り、出かけました。国立の研究機関で有り、大きな病院ですが、案内されたのは、マイナーは感じのする場所で、小さく平常圧水頭症学会と書かれていました。中に入ると、15畳程の部屋で、学生さんが何人も並んでいて、

その教授が、お袋を小突く様にして、こんな風に反応を見ますと言われて…。研究機関なので、止むない事なのかも、わかりませんが、あまり良い感情は持てなかったと記憶しています。

診察の後、その教授は、平常圧水頭症ですと断言されて、手術になりますと言った話をされました。実際に、長期入院となると、色々な世話の関係も有り、私の地元で、手術した方が良いかもと、妻と話し合い、地元医大に紹介状を書いて頂く事にして、(教授は自分が執刀出来ないのが残念そうな感じに見えました)帰って参りました。

診察自体は、好印象では無かったのですが、病名が確定して、手術で良くなる可能性が出て、気持ちが高まりました。

次号へ続く。

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